社説は年頭に何を主張するのか。

元日の新聞各紙は年頭の社説にどのような内容を記載するか関心がありました。
今年最初の社説で、各紙が何を優先して主張しているか、そのなかで、政治的課題はどのように扱われているかを知り、自分なりの考えを整理していきたいと思っています。

◯朝日新聞の社説は、「政治改革30年の先に 権力のありかを問い直す」と題して、二大政党の実現性や小選挙区制の現状についての懸念と今後の課題、また空洞化などと称される国会の現状への懸念と国会の行政監視のあり方について述べ、解散権の行使再考などの課題について言及。

◯読売新聞の社説は、「米中対立の試練に立ち向かえ 新時代に適した財政・社会保障に」と題し、主に国際関係と日本のあり方などについて課題提起、国内政治については、読売新聞社世論調査にあらわれた国民の気持ちをどう払拭するのか夏の参院選で与野党は具体策を示してほしいと提案し、社会の分断など欧米に見られる混乱を免れている安定した社会を、治安の良さなどを次代に引き継ぎたいとしている。

◯日本経済新聞の社説は、「不確実性にたじろがず改革進めよ」と題し、国際関係と日本のあり方などについて課題を提起、そして、国際社会のなかでも日本の社会的、政治的な安定は突出した存在とし、資本主義や民主主義の価値を守ることの必要を提案。

◯毎日新聞社の社説は、「次の扉へ AIと民主主義 メカニズムの違いを知る」と題し、AI(人工知能)と民主主義との緊張関係、フェイクニュース、社会分断、AIに対する無防備などからの民主主義の脆弱性を指摘。

◯以上、雑駁な要約になりました。
朝日は国内政治への懸念と課題、毎日は、民主主義の脆弱性を危惧し、読売は、夏の参院選で国民不安を払拭できるよう与野党は具体策を示すことを提案、日経は、我が国の政治的、社会的安定を評価し、そのなかでの資本主義、民主主義の価値を守ることの大切さを述べていると、急ぎ足でまとめてみました。

各紙いくつか主張のあるなか、朝日は、政治改革が目指した二大政党についてはまだまだその道のりは遠いと述べています。確かに、二大政党の誕生を期待するにはまだまだ厳しい政治状況です。一強他弱といわれるなかで、自公政権与党に対峙できる政党の誕生、どのような政策で政権与党との違いを訴えることができるのか、難しい課題になると思います。政策的にも、かつての民主党政権における、実現しなかったマニフェスト、再建できなかった財政、米軍基地をめぐる混乱、中国との関係悪化、子ども手当の挫折などがトラウマになってくるかもしれません。政権を目指す理念、政策でいくのか、数は力なりは政治の真実であり、選挙、野党の結集、政界再編に道を見出そうとするのか、前途多難ではあります。

二大政党について思うのは、政策的にも政治理念にしても真逆の二大政党の実現は可能性が極めて少ないのではないかと思います。政治理念、政策が真逆のA党、B党で政権交代が起きるとしたら、その都度、国政は大転換し、政権交代ごとに「維新」の世界になるのではないでしょうか。安定した社会における健全な二大政党の誕生には、政治理念、政策的にも大同小異ということが、まずその土壌となるのではないかと思います。

政治理念、政策的にも大同小異の対抗政党として自公政権与党に対峙できる野党、その違いを明確にすることは政治状況的にも相当厳しいものがあり、その苦悩する野党から脱却するには条件、ハードルが高すぎるとも言えるかもしれません。それでも政権交代の可能性を求め続けることは、野党の国民に対する責任かもしれません。
また、これから将来のことを考えるとき、民主主義の脆弱性、議会制の危機などの警告も忘れてはならないことだと思います。

今年は、どのような政治的展開となっていくのか、見守っていきたいと思います。